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2026.02.28

イベントレポート「和歌山 Well-being Month 2026」~すべてのいのちのウェルビーイング~

みなさま、お久しぶりです。

ウェルビーイングデザインの宮地です。

 

今回は、先日の和歌山 Well-being Month登壇の様子をご報告いたします。

和歌山 Well-being Monthとは、

和歌山の自然・文化・人・地域を舞台に、
その人らしい「いい状態」と、つながりを育んでいく
1か月間の体験型イベントです。

セミナーや温泉リトリート、ワーケーション、一次産業貢献、
ホースコーチングなどの多彩なプログラムを通して、
自分自身と向き合い、人と出会い、地域とつながる時間をつくります。

ここで生まれる体験は、その瞬間で終わるものではありません。
出会いがつながり、また帰ってきたくなる——
そんな循環を、和歌山から。

(公式HPより:https://wakayama-wellbeing-month.pcwjapan.com/)

 

 当法人の前野は、2つのトークイベントに登壇し、1つのアクティビティでファシリテーターを務めました。

今回その中から、

  • トークイベント「すべてのいのちのウェルビーイング」@アドベンチャーワールド
  • 「ディープタイムウォーク」@熊野古道の様子

について、ご紹介します。

 

トークイベント「すべてのいのちのウェルビーイング」@アドベンチャーワールド

ーーーこのイベントは、学問・人材育成、行政・まちづくり、経営・ビジネス、そしてテーマパーク・動物たちそれぞれのフィールドでウェルビーイングを体現している4人のゲストをお迎えして、自然と動物いっぱいのパークでさまざまな切り口でウェルビーイングを紐解きます。(公式インスタグラムより

 

 特に印象的だったのは、すべてのいのちのウェルビーイングということで、動物のウェルビーイングについてのお話でした。

 副園長の中尾氏のお話からは、アドベンチャーワールドとして動物のウェルビーイングのためにどのような工夫をされているのかについて知るヒントを沢山いただきました。

一番左から東京大学大学院の鈴木寛氏、アステリア(株)平野洋一郎氏、アドベンチャーワールド副園長の中尾建子氏、当法人の前野、モデレーターの島田由香氏(写真:筆者撮影)

動物の幸せな暮らしを実現する ~環境エンリッチメントの取り組み~

 動物のウェルビーイングについての中尾氏のお話の中で、動物が自然に近い行動を取れるような暮らしを実現するために、飼育環境に工夫を凝らしていることを知りました。イベント後に動物園における動物福祉の実践について調べていくと、それは「環境エンリッチメント」と呼ばれる取り組みだと知りました(Environmantal enrichment)(1)。

 エンリッチメントの種類は多様で(2)、種類は、採食・社会・認知・感覚・空間の5つに分類されます。

 採食の例だと、単に餌をあげるのではなく、餌を隠して探索行動を促したり、肉を骨付きで与えてみたりといった、動物たちが餌を食べるときに楽しめる工夫がされています。ライオンの場合、野生の環境に近づけるために、週に3日が給餌の日で、残り4日は絶食日とのことです。

 アドベンチャーワールドでもこのような環境エンリッチメントの取り組みを行うことで、動物のウェルビーイング、つまり野生に近い幸福な暮らしの実現を目指しているそうです。このように、動物たちが野生本来の採食行動ができるよう、人間中心ではなく、動物中心で考えて行動されているとお話されていました。動物も単に餌が与えられるのではなく、多様な食べ方の選択肢が与えられている点が印象的でした。

 

社会課題解決にも…農作物のフードロスや獣害問題も解決!

 また、環境エンリッチメントの工夫の一つとして、アドベンチャーワールドでは、季節のおやつとして、イチゴや柑橘類を与えているようです(3)規格外の農作物を与えているので、フードロス問題の解決にもつながります。

 さらに、交流会では、普段は動物の餌の準備を担当している職員の方より、職員の中には、狩猟や食肉処理に必要な免許を持っている方もおり、和歌山県内のイノシシやシカになどのジビエを動物の餌に活用できないか模索しているお話も伺いました。海外から輸入している生肉の代替として、地域資源を活用する可能性を探る積極的な姿勢に、長い間お話を聞き入ってしまいました。

 実現できれば、獣害問題を解決する1つの方法となりそうです。ただ、課題としては処理や加工の手間がかかるとのことでした。(4)

 

交流会にてスタッフの皆さんと (写真:関係者撮影)

 

 動物園でジビエを採用する利点は、精肉されたものとは異なり、骨や皮、毛が付いたままの状態をかみ砕くという本来の行動を促すことで、動物のストレス軽減にもつながり、健康や心理的なウェルビーイングにつながる点だと考えられます。

 また、いのちのつながり/循環を来園者に伝えることもできます。ただ、先ほどもお話した通り、低温殺菌など適切な処理が行われる必要があるため、安定的な供給や提供体制への課題が残っています。

 

 このように、「動物の幸福」「地域の持続可能性」の架け橋となっているアドベンチャーワールド。

 ほかの取り組みとしては、ジャイアントパンダが食べ残した竹をアップサイクルし、アオリイカの産卵床として、海に設置。アオリイカの産卵が見られたり、海水温の上昇や藻類を食べる生物の増加によって変化していた白浜の海ですが、生物多様性の回復の兆しが見られています(5)。

 取り組みを知れば知るほどその魅力に気が付かされますが、今回私が捉えられたのは、すべてのいのちのウェルビーイングを追求する企業理念のほんの一端に過ぎないのだとも感じています。

 

サファリエリアにおける空間の環境エンリッチメントの様子;開放的な空間(写真:筆者撮影)

 

アクティビティ「ディープ・タイム・ウォーク」@熊野古道 大辺路 長井坂

ーーーこのイベントでは、みんなで地球46億年の歴史を4.6km歩きながら振り返り、地球の膨大な歴史を体感します。前野氏のガイドで、地球誕生からの歴史を一歩(50cm)=50万年として、味わいながら歩く。月の誕生、海・生命誕生、カンブリア爆発、生物の陸上進出などの大きな節目ごとに立ち止まり、イメージする。自然の中を歩きながら、知って、味わって、思いを馳せることで、時間と空間を超えて「自分」という存在を見つめ直すことのできる貴重な体験をお届けします。⁡(公式インスタグラムより

 

今回で2回目となったディープ・タイム・ウォーク@熊野古道。

このルートは、和歌山県の職員さんや事務局の皆さん、みんなで作り上げてきた感覚が強く、このルートをまた今年もたくさんの方に体験していただけたことに、胸がいっぱいです。

参加者の感想には、

  • 坂を登りきってから突然海が見えたこと、そしてルートの最後が海であるということに感動した
  • 途中尾根伝いに歩くルートは、高低差もあり、人生山あり谷ありという感覚を想起させた
  • 雨上がりだったので、土のにおいや木々のにおいをより鋭く感じられた
  • 前日の雨で道が土砂で覆われている場所もあったが、私たちが一歩ずつ道を踏みしめて歩くことで、次に続く人々のために自分たちが道を作っている感覚を覚えた
  • 先人が作った尾根の「段築」の道を自分たちが歩くことで、祖先とのつながりを感じた

などが挙げられました。

段築

熊野古道からの景色

 

私自身、このルートを歩くのは2回目だったので道には慣れてきて、呼吸や感覚に集中しながら歩くことができました。2回目ということで、熊野古道への懐かしさもあり、思いがけず再会する人もあり、出会う人、景色、全ての気持ちに、また戻ってきたくなるような体験でした。

それはまさに、和歌山 Well-being Month が実現しようとしている

自分自身と向き合い、人と出会い、地域とつながる時間

が体現された時間だったように感じます。私個人として、和歌山とのつながりが、私の内部でどんどん拡がっていく感覚をかみしめた時間でした。

 

まとめ

 前半のアドベンチャーワールドでのトークイベントに関連して、アドベンチャーワールドでは、動物だけでなく、そこで働くスタッフの皆さんもとても生き生きとされていました。

 和歌山 Well-being Monthのプログラム内のペンギンフルネスやホースコーチングなど(6)まだまだ紹介しきれていない魅力はありますが、トークイベントをきっかけに、べてのいのちのウェルビーイングとは何か、その輪郭に触れることのできた時間でした。

 東京方面からだと南紀白浜空港からバスですぐですので、またぜひ訪れて、ホースコーチングもぜひゆっくり体験してみたいです。🐎

 さらに、身近で環境エンリッチメントの活用例はないか、気になっています。

 

 後半のディープ・タイム・ウォークに関しては、この実践、実は3時間で実施すると若干駆け足になってしまうため、次回はお弁当を持参し、海辺でゆっくり体験を振り返る時間を持てたらという話も出ました。

 また来年も熊野古道で新たな人々と「いい状態」とつながりを育んでいけたらと思います。 

 参加者・運営の皆様、誠にありがとうございました!

 

参加者の皆さんと(写真:筆者撮影)

大きさや色、さわりごこちも様々な石ころたち… みんな違ってみんないい。

 

一般社団法人ウェルビーイングデザイン

宮地 眞子


参考・引用文献

(1)市民ZOOネットワーク「動物園とエンリッチメント」http://www.zoo-net.org/enrichment/outline/outline.html (2026/2/27閲覧)

(2)市民ZOOネットワーク「エンリッチメントの方法」http://www.zoo-net.org/enrichment/outline/outline2.html(2026/2/27閲覧)

(3)アドベンチャーワールド「SPRING ADVENTURE 2025 フードロス削減×動物のエンリッチメント!地元農家と動物たちをつなぐ「フードロスを減らそう!どうぶつのおやつバケット」販売」 https://00m.in/xISpx (2026/2/27閲覧)

(4)ジビエト「動物園の動物たちに鹿や猪を与える意味とは!? 獣害問題、環境エンリッチメント、SDGsに取り組む“屠体給餌”を実践「豊橋総合動植物公園のんほいパーク」愛知県豊橋市」https://gibierto.jp/article/feature/interview/11488/ (2026/02/27閲覧)

(5)アドベンチャーワールド「“パンダバンブープロジェクト” パンダの食べ残した竹が、海のいのちを育む礎に アオリイカ産卵床設置活動 4年目へ 新たに「環境DNA調査」も開始」 https://www.aws-s.com/topics/detail?id=top4301 (2026/02/27閲覧)

(6)アドベンチャーワールド「馬と人が創るホースコーチングプログラム」https://www.aws-s.com/horse_coaching/ (2026/02/27閲覧)

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