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2019.02.13

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

2018/2/24-25に岡山県西粟倉村と鳥取県智頭町を訪問し、エーゼロ株式会社のイベント「ローカルモーカル」で講演したり、すばらしい地域活性化事例を見学させて頂いたりしました。ありがとうございます。

タルマーリーを訪問して

2/24の「ローカルモーカル」でもご一緒し、2/25にたっぷり見学させて頂いたのが、渡邉格(わたなべいたる)さん・渡邉麻里子(わたなべまりこ)さんご夫妻と、そのおふたりが経営されるタルマーリー。

タルマーリーって、どこか西洋の言葉かと思ったら、格(いたる)さんと麻里子(まりこ)さんの名前から取った店名とのこと。ごちそうさまです。幸せな夫婦研究者の私としては、気になりますねー。

タルマーリーのピザとパンとビールはとっても美味しくて、ご夫妻直々にビールやパンを作っている所を見学をさせて下さったのも感動的でした。ありがとうございます。

で、遅ればせながらその時にタルマーリーで購入させて頂いた渡邉格さんの本『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』を今日までに読破。とっても「今」な本でした! 名著です。お勧めです。読むべき本です! 格さんの半生の波瀾万丈さ加減といったら我々凡人には真似のできないレベルで、そのストーリー展開もこの本の醍醐味のひとつなのですが、なんといっても、そこからたどり着いた世界観に共感しました。

天然酵母とイーストの違いって、わかりますか?

なんと、渡邉格さんのパンやビールは、普通に空気中を漂っている酵母をもとにしてパンやビールを造られているんです。驚きです。

何年か前に慶應SDMの学生とともに指導して頂いた『奇跡のリンゴ』の木村秋則さんの自然栽培や、対談したり交流したりしている 株式会社森へ の山田博さんや、最近売れている『ティール組織』や、ホラクラシー経営や、マインドフルネスや、拙著『無意識の整え方』で対談させていただいた方々の考え方と、よく似ていると感じました。

要するに、我田引水で恐縮ですが、ここにある表1ですよ(拙著『幸せの日本論』)。

木村秋則さんの自然栽培は、農薬でほかの植物が生えない環境で育った作物よりも、自然の多様な動植物と調和的に共存した、農薬も有機肥料もない自然環境の植物(たとえばリンゴ)の方が強くて美味しいというお話。

タルマーリーさんの自然酵母は、パンが膨らみやすいことに最適化されたイースト菌よりもも、膨らむ菌や、生き延びる菌や、雑味を加える菌が共存する多様な在り方の方がすばらしいというお話。

パンと森と組織と人と

株式会社森への活動は、サステナブルな調和の象徴である自然林に学ぶことで人のあらゆる問題が解決するという信念に基づいています。つまり、多様なシステムの中で寄り添い合う多様な個の調和を目指す方向性が同じ。

ティール組織やホラクラシー組織も、ピラミッド型の最適化、合理化、効率化、競争勝ち抜きではなく、ネットワーク型・アメーバ型の調和、平和、多様なつながり、インクルージョン(みんな多様ですばらしい)、自然や生命のシステムに学ぶ、という在り方に基づいています。

マインドフルネスも、これまでの知識偏重型、左脳型、論理型、過去と未来の分析型のやりかたではなく、感性の重視、右脳型、今の豊かさを感じ楽しむ、自分を愛し世界を愛す、という価値観で心を整える点が似ています。

幸福学とのつながり

そして幸福学も同じ。人が1億人いたら1億通りのナチュラルな多様性を維持し、その1億通りをみんなで許容し信じ尊敬し愛し合っている世界ができたら幸せ、というのが多くの幸福研究結果から導かれる答え。合理化、効率化、競争優位への最適化ではなく、無駄に思えるつながり、協創と調和へのコミットメント、みんなを信じ尊敬し愛する世界、感性を信じる世界。これらのほうが幸せな世界だと統計的に検証したのが幸福学です。

もう10年か20年くらい、ずっと考えてきて、こうありたいと思っていた在り方と、タルマーリーさんの在り方がとっても近かったので、同じ思いの方々と巡り会えた幸せにひたることのできた読書でした。ありがとうございました。

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